たんぱく質を利用した「あん」の識別方法

タンパク質を利用した「あん」の識別方法についてお話しをします。市販の和洋菓子に使用されている「あん」は小豆色をしているものでも小豆のみで作られているというわけではありません。「あん」の原料として使用されている豆には小豆の他、いんげん豆類、えんどう豆類等があります。

上図の様にたくさんの豆があって、いったいどの豆が「あん」として使用されているのか判断するのは非常に難しいことです。通常は顕微鏡観察でその判断を行っていますが、その方法だけでは、「あん」の原料豆を判断するには不十分でした。そこで私たちは「あん」に含まれるタンパク質に注目し、その識別に挑戦しました。

その方法とは「抗原抗体反応」を利用した方法です。人や動物は体内に本来存在しない異物(それを抗原と言います)が生体内に入ってくると、まず異物(抗原)を生体内から排除します。また、同時に異物(抗原)の再侵入に備えてその異物(抗原)に対する抗体を作ります。そのとき作られた抗体はその異物(抗原)にしか反応せず、その異物(抗原)とだけ結びつき(抗原抗体反応)生涯その物質に対する抵抗力ができます。その現象は、一般に免疫ができたと言います。

では、その「抗原抗体反応」を使ってどのように「あん」の識別をするのか説明します。まず小豆から小豆のタンパク質を抽出してマウスにそのタンパク質を注射します。マウスの体内ではそのタンパク質を異物(抗原)とみなして、その異物(抗原)に対する抗体が血液中に作られます。血液中から抗体を集め、抗体液としました。その抗体は小豆のタンパク質(異物、抗原)とだけ反応します。同じようにして他の豆からもそれぞれの豆のタンパク質に特異的に働く抗体を作りました。

赤あんの原料


例えば、何が入っているかわからないようかんがあるとします。そのようかんからたんぱく質を抽出します。そして上のそれぞれ3つの抗体と反応させます。


このようかんのタンパク質は小豆の抗体とのみ反応しました。そのようかんに使用されている「あん」の原料豆は“小豆”だとわかります。おそらく「あん」の原料豆の種類判別にこのような生化学的な方法を応用したのは日本で始めてのことだと思います。

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