あん特有の舌ざわりは、「あん粒子」から生み出されます。このあん粒子は、豆を煮ることで豆の中にあるデンプンをタンパク質が包み込む形で形成されます。そのため、あん粒子にはデンプンがあることが必要条件になります。また、あずきのタンパク質は、加熱することで性質が変わり水となじみやすくなるので、あん粒子が形成されやすいとも考えられています。しかし、大豆にはあまりデンプンが含まれていないので、一般に大豆からはあんが作れないとされています。
「つぶあん」はあずきの粒をなるべくつぶさないように炊きあげたあんのこと。それに対し、「こしあん」はあずきなどを煮てつぶし、布などで濾(こ)して皮を除いて炊きあげたあんのことを言います。また、「小倉あん」「ねりあん」という呼び方もあります。「小倉あん」は小倉百人ー首で有名な京都の小倉山に由来し、こしあんに大粒のあずきの蜜煮を混ぜ込んだあんのこと。「ねりあん」はあずきなどを煮てつぶし、濾(こ)して砂糖を加え火にかけて練ったものとされ、火にかけて練ることから「煉(ね)りあん」と書く場合もあります。