2019年12月12日お知らせ

小豆に含まれる新規糖代謝酵素阻害成分の発見!

小豆に含まれる新規糖代謝酵素阻害成分の発見!
~2019年度日本食品科学工学会中部支部大会にて発表~

井村屋株式会社は三重大学生物資源学部との共同研究により、小豆に含まれる糖代謝酵素阻害作用を示す成分を新たに見出し、小豆中には有効成分が複数含まれることを明らかにしました。これらの有効成分を含む小豆製品を摂取することにより、食後血糖値の上昇を抑制する可能性が示唆されました。本研究の詳細は、12月14日に三重大学にて開催される2019年度日本食品科学工学会中部支部大会において発表する予定です。

主な研究成果

小豆に含まれる糖代謝酵素阻害成分を複数同定しました。
これらの有効成分は、調理を想定して加熱処理した小豆抽出物にも失われずに存在していました。

発表概要

背景・目的

小豆にはポリフェノールが豊富に含まれており、先行研究により小豆煮汁抽出物には血糖値上昇抑制や抗腫瘍、脂質代謝改善、メラニン生成促進、抗アレルギー、骨代謝改善などの作用があることが知られています。各種の機能性のうち血糖値上昇抑制について、食後血糖の急激な上昇を抑制することは、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の発症予防に繋がるため、血糖値の上昇を穏やかにする食品や食事方法の開発が望まれています。
一方、小豆には機能性成分が存在しますが、製品化の過程では煮汁として、その多くが廃棄されてしまいます。また、廃棄物として大量に廃棄される煮汁は、その有効活用が求められています。
そこで、本研究は小豆および小豆煮汁から糖代謝酵素(α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ)を阻害する成分の特定を目指しました。

方法

小豆の浸漬水(※1)をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて分画し、得られた各成分の構造をNMR(核磁気共鳴装置)にて決定しました。さらに、各成分による糖代謝酵素に対する阻害作用を検討しました。
※1:生小豆を一晩室温下で水に浸漬させた際に得られる水抽出物

結果

小豆に含まれる複数の成分において、糖代謝酵素に対する阻害作用を確認し、そのうちの1つが新規の糖代謝酵素阻害成分であることを明らかにしました。その成分は、すでに糖代謝酵素の阻害活性を有することが知られているカテキンと同程度の力価を有していることを確認しました。また、これらの有効成分が「無糖のあずき(煮小豆シリーズ)」(井村屋株式会社製品)中にも存在していることを確認しました。

糖代謝酵素に対する阻害作用

注釈説明

阻害に必要な量が少ないほど効果が強い

 

まとめ

・小豆抽出物中に、糖代謝酵素の結成を阻害するいくつかの成分を同定しました。
さらに、その一つが新規の糖代謝酵素阻害成分であることを明らかとしました。
・今回発見した機能性成分は、小豆の加熱処理(加工)によって減少するものではなく、
むしろ増加しました。
・井村屋では今後も小豆を使った食文化の伝承、小豆製品の普及により一層注力する
とともに、消費者の健康にも貢献すべく、小豆に関する研究及びその成果を活かした
食品の開発、素材としての開発を進めていきます。